どうも、ぽんせいです!
この作品がアカデミー賞を取ってからかなり時間が経ってしまいましたが、今一度この作品の凄さを語っていきたいと思います。
映像やアニメって、ハリウッドの大企業や莫大な制作費が必要なもの…そんなイメージ、ありませんか?
でも、その常識をぶっ壊してくれる作品が現れたんです。
それが──アニメ映画『FLOW(フロウ)』。
製作費はなんと約6億円です。
これは、2024年の『FLOW』と同じ長編アニメーション部門でノミネートした『君たちはどう生きるか』の製作費60億~80億円のおよそ10分の1です。
この映画、無料の3Dソフト「Blender」で作られたインディーズ作品にもかかわらず、2025年のアカデミー賞長編アニメーション部門で見事に受賞。
ピクサーやディズニーを押しのけて、世界の頂点に立ったんです。いや、ほんとに意味がわからないレベルの快挙ですよこれは。
『FLOW』ってどんな映画?
まずは『FLOW』という映画そのものについて。
監督はラトビア出身のギンツ・ジルバロディス(Gints Zilbalodis)さん。前作『Away』では一人で長編アニメを作り上げたことで話題になった方です。
『FLOW』では、セリフなし、音楽と映像だけで語られる物語が展開されます。
舞台は世界が大洪水で沈んだ後の世界。
主人公は──猫。
そして共に旅する仲間たちは、ボートに乗り合わせた動物たち。
言葉がなくても、彼らの感情や関係性が手に取るように伝わってくる。視線の動き、呼吸のリズム、音楽の重なり。まさに“体感する映画”です。
一見かわいらしいアニメーションに見えるけど、その奥には「環境」「孤独」「共生」「分断」といった社会的テーマも織り込まれていて、大人でもグッとくる場面がたくさんあります。
Blenderで全部作られてる
ここが本題。
この映画、ほぼすべての3DCG制作が、無料のオープンソースソフト「Blender」で行われています。
Blenderって聞いたことありますか?
3Dモデリング、アニメーション、レンダリング、VFX、コンポジット、編集…全部できちゃうオールインワンの神ツールです。しかも、無料。
普通の映画だとMayaや3ds Max、Houdiniみたいな高額ソフトを複数組み合わせて制作されるんですが、『FLOW』はそれをBlender一本でやってるんです。
しかも、リアルタイムレンダラー「EEVEE」を使ってるというのが衝撃。
EEVEEって、いわゆる“ゲーム寄り”のレンダリング方式なんですよ。リアルタイムでレンダリングされる代わりに、物理的なリアリズムはやや抑えめ。でも逆にそれが『FLOW』の幻想的な世界観とめちゃくちゃ合ってる。
つまり、「制限を武器にする」っていう発想が極まってるんですよね。これは本当にすごい。
制作チームは少人数。それでも世界へ届いた
さらに驚きなのは、その制作体制。
ジルバロディス監督は、前作『Away』をほぼ一人で作り上げた猛者。そして今回の『FLOW』も、少数精鋭のチームで進められました。
そのチームは、商業アニメのような大規模な分業ではなく、いわば“作家性”に満ちた職人集団。アニメーション、背景、美術、音楽、全てが一つのビジョンに貫かれていて、まるで「ひとつの生命体」が作ったような統一感があるんです。
音楽もまた重要。セリフがないぶん、音楽が感情や空気を支配します。
作曲はリハルズ・ザリュペというアーティストで、アナログとデジタルを融合させたサウンドは、感情の波を視覚と同じくらい強く引っ張ってくれます。
『FLOW』が教えてくれること
ここで強調したいのは、「Blenderだからできた」のではなく、「Blenderでもできた」ではなく、
**「Blender“だから”できた」**ということ。
Blenderというツールは、誰でも使える自由さと、プロでも使える強さの両方を兼ね備えている。そして、それが作家性の強い作品と相性が抜群なんです。
資金や人材に恵まれた大作と違って、『FLOW』は制約だらけ。でもその制約を乗り越えた先にある“自由”を見せてくれる映画なんです。
私は2025年2月にBlenderを触り始めたばかりの初心者ですが、この映画を観て「自分にもできるかもしれない」って思えたんです。
いや、できるかどうかじゃない。「やってやろう」って思えた。
誰にだって、チャンスはある。
無料のツールと、自分の想像力と、努力さえあれば──。
結論:『FLOW』は未来を変える一本
『FLOW』がアカデミー賞を獲ったという事実は、ただのニュースではありません。
これは、「創作の自由」が現実になった瞬間なんです。
言語も、国も、資金力も、関係ない。
表現したいという意志があれば、世界はきっと観てくれる。
そう信じさせてくれる一本、それが『FLOW』。
まだ観ていない人は、ぜひ予告編だけでもチェックしてみてください。
きっと、あなたの中の「なにか」が動き出します。
🔗 公式サイト:https://flow-movie.com/
🎥 予告編:https://www.youtube.com/watch?v=82WW9dVbglI
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